フリーランサーがブラックジャックに学ぶべき5つのこと

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ブラック・ジャックウチの本棚に、手塚治虫「BLACK JACK」があります。15年ほど前、学生やフリーターだった頃にちょっとずつ買い集めたものを、最近ひさしぶりに読み返してみました。

いまこうしてフリーランサーになってみると、BJの仕事術や生活にはいろいろ学ぶところがあるなぁと思った次第なのです。

ちなみにBJは「開業医」だからフリーエージェントではない、のかな…でも無免許だから、「開業医」って言うのはヘンなのかな…どうなのざましょ。

金儲けして何が悪い?安売りするな

ブラックジャック先生のいちばん話題はその法外な代金です。

その意味は自分の腕前への圧倒的な自信でもあれば、「どうしても生きのびたい」と願う患者の意志を測るものさしでもあるようです。

だからって私が、ウェブサイト制作を依頼されて

「しめて五千万!奥さん、払えますかな?どうしても売上を上げたいのなら安いもんでしょう、ええ?」

なんて言うこたぁないですけれどもね(笑)。

しかしながら、”私に”頼みたいというお客様と仕事をしたいものだし、”私に”まかせてよかった、と思ってもらえるような仕事には、かならずそれなりの価値がついてくると信じてやっています。

こと日本人は、お金を儲けることに対して罪悪感を持ちすぎるなんて言われますが、自信がないから、安くしときまっせ…なんていう仕事の仕方はぜったいしたくないものですね。

お客は神様なんかじゃねえ

患者に対してもかなり口が悪いこともあるBJ。無茶ぶりする客はざっくり切り捨てます。

「おい お坊ちゃん 若さま どこの金持ち息子か知らないけどな
わがままいったって できることとできないことがあるんだぜ

死んだものを生き返らせろだって……おれをキリストだとでも思ってるのかな」

—『犬のささやき』

なにも一般人だけではありません。大統領夫人だってけちょんけちょんに言われたあげく、法外な値段をふっかけられます。

大統領夫人「夫がいつねらわれて重傷を負っても すぐその場でなおしてやってください」

BJ「百五十億円いただきましょう」

大統領夫人「なんて…………ぶれいな!!」

–『こっぱみじん』

無茶を言う客は断っていいのだし、あるいは無茶に見合った値段を請求していいのです。

それを、無茶を飲むのがフリーランスのつとめ…なんて思っているのは大間違いだし、そればかりではどんどん自分の価値を下げてしまうことでしょう。

努力を惜しむな

幼少の頃にひん死のケガを負い、生死をさまよう大手術と死ぬほど苦しいリハビリを乗り越えたBJだからこそ、努力の大切さを知っているのでしょう。

すでに世界最高の外科医と言われる存在であるのに、いつでも新しい症例に興味をもち、研究やサンプリングを怠らないようです。

他の医者に呼ばれて手術に出向き、病巣を持って帰ったり(『危胎』『白い目』)、アフリカの奥地にまで未知の症例を治療しに行ったり(『ちぢむ!!』)といったことをたびたびしています。

何歳だろうと、どんなキャリアだろうと、努力して新しいスキルを手に入れるのは誰にだってできることなのです。

世界を股にかけろ

ざっと見たところでも、BJはこれだけ海外の仕事をしてました。

  • ピレネーの山奥
  • フランスの田舎
  • アフリカ
  • 南米
  • オーストラリアの農場

というわけで少なくとも英語、フランス語、イタリア語、スペイン語は扱えるようですね。さすがです。

私たちもBJにならって、せめて英語くらいは押さえておきましょう。BJみたいに海外の大富豪からお声がかかる……かどうかはわかりませんが、確実に世界が広がります。

生活は基本質素に。でも使うところではバーンと使え!

あれだけ稼いでいるにもかかわらず、BJのふだんの生活はとっても質素。

住居兼診療所は超不便な海辺の崖の上の古い建て売り物件で、室内にもお金持ちそうな家具はひとつも見当たりません。ある日見かねたピノコが高級家具を取り寄せたら即刻返品されてしまうほど徹底しています。

食事だって、やたらお茶漬けが好き。

台風で孤島の診療所を出られなくなったBJ。

女医「そのかわりできるだけはりきってごちそうしますわ」

BJ「じゃあお言葉にあまえて 茶づけをください」

–『土砂降り』

大統領の宮殿に招かれたBJ。

執事「ここがあなたの部屋だ なんでも望みのままに召使いどもに命じてくれ」

BJ「お茶づけくれないか」

–『こっぱみじん』

おまけに、このケチっぷり。

ピノコ「おこづかいがほちいの」

BJ「毎月二百円ずつやろう 少女週刊誌くらい買えるだろう」

–『ピノコ還る!』

ううっ、ピノコ18ちゃいよのさ…!と思いきや、「10年分いっぺんにもやっていい?」と切り返すピノコもさすがのおくたんぶりです。

そんな質素な暮らしぶりのBJですが、ある場面では信じられないような金遣いをします。

ある男によって無実の罪から救われ、恩返しを誓うBJ。後日、男がひん死の重傷を負ったと聞き、命を救うために駆けつける。

スピード違反を犯しつつレンタカーを乗り継ぎ、港ではモーターボートを購入、あげく男が収容された病院を、指揮権を握るためだけに現金20億円で即時買収。

–『助け合い』

いくら恩を返すためとはいえ、そこまでするかー!とびっくりしてしまいます。ですが、人のためにお金を使える人こそお金を儲けられる、という話も聞くので、あんがいこれ、突拍子もない話でもないのかもしれません。


名作は何度も読み返したくなるものですが、自分の状況に合わせて見所が変化していくのですね。

最後にもうひとつ。
BJほどの神業の持ち主だって開業直後は仕事がなく、近所の海岸に迷い込んだシャチを治療していた……というお話が、フリーランスとしてはちょっとほほえませつなかったです。