フリーランサーの営業用ウェブサイトづくりのコツ-(2)「やっちゃダメなコト」編

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前編からのつづき。先日、出版ネッツ主催「いちもくセミナー」で、フリーランサーの営業用ウェブサイト作りに関する講演をさせて頂きました。いろいろ反響を頂いたので、その中のいちコーナー「やったほうがいいコト・やっちゃダメなコト」から、抜粋して記事にしてみます。

前編:「やったことがいいコト」編はこちら

私がイラストレーターという立場のため、近い職業の方を意識した内容になってしまっていることは、どうぞご了承ください。ただ、イラストレーターというのは、フリーランサーに多い職業の中でも、ことのほかウェブやテクノロジーに疎い人が多いような気がします。何となく同業者のサイトをまねてしまって、「やっちゃいけない」感じになっているサイトも、多かったりするのです。


変な方向に凝ったデザイン。

字がめっちゃちっちゃい、なんか個性的なアイコンだけで構成されている、気合いの入りすぎたフルFlashサイト…などなど。デザイナーやイラストレーターに多い例です。

「この個性的なデザインを見れば分かってくれるよね!」というつもりなのでしょうが、あまりにも空気読めなさそうに見えますし、必要な情報を伝えられていないと思います。

いくら作品が個性的でおもしろくても、それだけで「じゃあ発注しよう」とはなりません。仕事相手として信頼を置ける人であり、マナーを守って気持ち良くやり取りできるかどうか、というのが、相手の知りたいことなのです。

「自分の作品を見て!!」という思いばかりで、そのあたりを考えていないと、仕事には結びつきません。別に、自己満足でアートをやるのが悪いというのではありません。自己満足全開でウェブサイトを作っても、かまわないと思います。ですが、そんなサイトを引っさげて「仕事が欲しいです」と言ってみたところで、それはどう考えてもムリでしょう…ということなのです。

逆に、あまりにも凝らなさすぎるデザイン。

凝らなさすぎる例字がめっちゃ多い、なんか古くさい感じがする、目がチカチカするようなテキトウな配色…。ライターさんなど文筆系の方、またはITのごりごりの技術系の方、特に男性に多い例です。

こういう方がよく仰るのは、「内容が良ければデザインが悪くても分かってもらえるでしょう」ということ。それは間違いです。なぜなら、デザインも内容のうちだから

「俺は別にこれでいいんだ」というのでも、構わないんです。でも、訪問者は、黙って去っていきます。なんかちょっと、自分の話ばっかりしてる男性みたいですよね。相手はうんうんといちおう聞いてはくれるでしょうけど、内心は冷ややかなもんです。

こういう場合に、相手に寄っていこうとする努力というか、伝えようとする態度というのが、”デザイン”に当たるものです。例えば、こんな営業マンがいたとしたら、どうでしょう?スーツはしわくちゃ、髪もぼさぼさ、話し方もぼそぼそと、自分のことだけしゃべって帰っていく。たぶん、検討すらしないでしょう。他人とは、見た目を乗り越えてまで内面を理解してくれようとはしないもの。だから、見た目の気遣いは必要なのです。

そしてもし、自分ではそのデザインを作るのが難しかったり、あるいはこれが良いというものを判断できないのであれば、同じフリーランサーの中からデザインのできる人に頼んでみてください。例えば、10万円で私がデザインしたとしましょう。一瞬、ちょっと高いように思えるかもしれません。でも、それで5万円の仕事を2件取れれば、もうそれだけでモトは取れるわけです。とすれば、ビジネス上の投資としてはとっても効率が良いということになるので、使える手だと思います。

なんか内輪向けのコンテンツが混ざってる。

「お友達リング」とか「お友達サイトリンク集」とか、あるいはイラストの方なんかだと「頂き物イラスト」とか。オタクの人がよくやるんです。あとはプロフィールで「xx(自分)に100の質問」とかね。あと、趣味のバイクの写真のコーナーがなぜか入ってたりとか。

気持ちは分からなくもありません。というのも、私も自分のサイトを作り出した最初期の頃、こういうことをしていたからです。何を掲載するべきなのかもよく分からず、実績として挙げられる作品もすくなく、格好がつきにくいので仕方なくこういう内輪コンテンツで”かさ増し”をしていました。でも、その結果得られたのは、一般の方からの「絵、すてきですね」といったコメントだけ。仕事には結びつきようがないのでした。

仕事に結びつかなかった理由は明確です。何のためのサイトなのか、誰に向けて見せているのかが、ぶれまくっているからです。

セミナーではやたらと口を酸っぱくして伝えました。「目的が何で、訪問者から何のアクションが欲しくて、その結果何を達成したいのか」をきちんと設定して、その実現のために、プロのフローに則りましょう、と。

「エンターページ」がある。

エンターページのイメージイラストレーターや写真家に多い例です。まずサイトの入り口にアクセスすると、でっかいイラストが一枚貼ってあって、「ようこそ、xxのほーむぺーじへ。中をご覧になるには、こちらのenterボタンをクリックしてください」、とある。昔から、今でも、結構見かけますが、よくよく考えてみてほしいのです。それって、必要ですか?

私は、「エンターページ」は、営業用サイトには設けるべきでないと思います。いろんな意味で損だからです。

ところで、これを本来は「ホームページ」と呼びます。今、日本で一般的に通用している「ホームページ」という呼び方は、誤用です。サイトの”代表”とも言うべき、入り口となるページのことを「ホームページ」と言います。

で、ホームページというのは、ひとつのサイトの中で一番、重用視されるページです。訪問者にとっては一番最初に触れるページであることが多いし、そのうえ検索エンジンも、ほとんどの場合、ホームページをいちばんにクロールします。

その大切なホームページにほんの少ししか情報を載せない、というのがこの「エンターページ」です。しかも、本丸のコンテンツまでをわざわざ1クリック分遠くしています。対人的に不親切だし、対検索エンジン的にも損な構造だと言わざるを得ません。

では、どうしたらいいか。私たちフリーランサーの営業用ウェブサイトの場合は、「私が何者で、何ができて、どんなアクションをしてほしいと思っているか」、これがホームページ一枚読めばだいたい伝わる、というのが正解に近いのではないかと思います。


以上、いちもくセミナー「フリーランスのための、仕事が舞い込むウェブサイトの作り方」から抜粋してお届けしました。決してこれが正解でも、絶対でもありません。自分自身の営業用サイトを徐々に育ててきて、そのなかで試したり調べたり…と学習してきたことをお話したにすぎませんが、誰かのお役に立てればと思い、記事化しました。

もっと”ちゃんとした”営業用ウェブサイトが増えればいいな、と思います。信頼できそうな感じの伝わる営業用サイトを持っているフリーランサーがいて、実際仕事をしてみればきちんとした仕事ができて。そうして「ネットで発注先を探すのは、悪くないな」ともっとたくさんの人に思ってもらえるようになれば、発注をする側にとってもいいことだし、フリーランサーの地位向上にも少しでもつながるんじゃないかと思います。