フリーランサーの営業用ウェブサイトづくりのコツ-(1)「やったほうがいいコト」編

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先日、出版ネッツ主催「いちもくセミナー」で講演をさせて頂きました。テーマは「フリーランスのための、仕事が舞い込むウェブサイトの作り方」について。意外に思う人もいるかもしれませんが、出版系フリーランサーのあいだでは、わりと「ウェブとかそういうの、難しい、わからない」と言っている人が多いのです。そんな方たちへの手助けになれば、ということで、1時間程度のお話をさせて頂きました。

講演後もいろいろと反響を頂いたため、その中のいちコーナー「やったほうがいいコト・やっちゃダメなコト」から、抜粋して記事にしてみたいと思います。営業用ウェブサイトを作りたいフリーランサーの方、もしくはこれからフリーランサーになろうという方に参考になれば幸いです。

ウェブサイト制作のフローのイメージ

講演の内容を簡単に説明すると、「ウェブ制作のプロが使うフローに則って、きちんと作りましょう」というのが趣旨です。フリーランサーのウェブサイトは、個人だからということで適当に人のまねで作られてしまうことが多いのですが、仕事を取ってくるという機能を持たせるということは、本来はそこらの企業のサイトと同じ性質なはずです。

HTML5がなんたらかんたら、ソーシャルメディアが云々、ソフトは何を使えば…といった話はとりあえずどうでもいいのです。それ以前の基本的に大事なことは何か考えましょう、というのが、私がお伝えしようとしたことでした。その中で、少し実践的な内容も紹介しましょう、というのがこの記事のもとになったコーナーです。

ところで、私がイラストレーターという立場のため、近い職業の方を意識した内容になってしまっていることは、どうぞご了承ください。それ以外の職業の方にも使える内容ではあると思うので、適宜ご自分に置き換えて読んでください。また、「営業用ウェブサイト」というのは、仕事履歴や作品を紹介し、問い合わせフォーム等を設置してあって、仕事の受注を目的とするウェブサイトのことです。個人の趣味サイトやブログ等には当てはまらない内容なので、その点はご留意ください。


作品や実績を「カテゴリ分け」する。

タグ付け、カテゴリ分けのイメージ

作品や実績を掲載するときに、全部いっしょくたにフラットに並べるのではなくて、カテゴリに分けます。

カテゴリに分けるということはつまり、ジャンルや性質に分けて、そのタグを付けるということです。見てくれる人に「これは自分に関係があるな」ということを分かってもらいやすくします。

例えば私は、イラストレーターです。私が仕事のために描いた絵はいくつもあるのですが、それを分類して「風景や建物のイラスト」というカテゴリを作りました。すると、風景や建物の絵を探している人の目に留まりやすくなります。例えばそれが、ある雑誌のために観光をテーマにした記事を制作中の編集者さんだったりすると、仕事が発生する可能性が産まれるわけです。

価格やデータを提示する

価格のイメージ発注元の業種とか、だいたいの価格、もしくはその仕事の企画内容とか、制作例と合わせてデータを掲載するといい、という話です。

具体的な社名や企画名まで挙げる必要は必ずしもないと思いますが、何も説明がない、趣味で作った作品なのかなんだかよく分からない、という状態ではよろしくありません。具体的な情報を合わせて伝えることで、「こういう仕事ができる人なんだ」というのをイメージしてもらいやすくします。

あと、値段というのは、発注する側からしても聞きにくいというか、どう決めたらいいか、っていうのは、わりと迷うところなんだそうです。そのための手助けにもなると思います。

何も実際の値段を正直に書かなくても、参考価格としてほしい値段を書いてもいいんじゃないかと思います。私は、参考価格を提示するようになってからは、変な仕事(と言うと申し訳ないけど、到底まともとは言えない条件のオファーもあるのは事実です)はほとんど来なくなりました。

顔写真を載せる

私は当ブログでも、顔写真を載せています。現在はこうやって顔を合わせることなく、遠方の人にプロフィールを見てもらって、またそんな方と、顔を合わせることなく一緒にお仕事をする、ということも珍しいことではなくなりました。

ただ、それでも人の性質はあまり変わっていなくて、どうしても他の人の姿を探してしまうというか、群れたくなってしまうものなのです。だから、人の姿というのは、すごく強い力を持っています。それが「写真を載せよう」という趣旨です。

ウェブサイトのイメージネットショップの運営者の間では有名なノウハウで「『ひとけ』を出そう」というのがあります。ふつう、現実世界のお店では、店員さんがいて、他のお客さんがいて、その空間のなかでお買い物をするものです。でも、ウェブではその人間は全く見えない。モニタの向こうには運営者も、同時にアクセスしている客もいるはずですが、姿は見えません。それで、せめて、それを補完することまではできないけど、少しでも安心感を出すために、人間の写真を積極的に使っていこう、というノウハウです。

で、私たちフリーランサーも、見ている人に安心感を与えるために、写真が有効です。「私は確かに実在していて、安心して仕事を任せて頂けますよ」と、いくら文章を重ねてもなかなか伝わるものではありません。でも、写真を一枚出しさえすれば、それが伝わるのです。写真には、そういう力があるんです。

顔写真のイメージところで、「顔を出すのは恥ずかしいから」といって、似顔絵や動物に似せたキャラクターを使っている方、それはNGです。営業用サイトでは逆効果だと思ってください。写真でないと意味がありません。

理由は先ほど書いたように、実在を語る力を持っているのは、写真でしかないということ。それともう一つ、「知り合いをターゲットにしない」ということです。

似顔絵は、知り合いに見せるには、いいんです。似てる、似てない、で話が盛り上がりますからね。名刺に似顔絵を載せるのも、いいと思います。そこで初対面の人とも話のきっかけを一つ作れると言う意味で。

ですが、営業用ウェブサイトがターゲットとすべきは、知り合いではありません。まだお会いしたことのない方から仕事を頂くために作るのではないですか?

この場合、似顔絵は逆効果になる場合があります。似顔絵やキャラクターはどうしても、素人臭い感じや、内輪感が出てしまいます。

それならば、写真を載せる方が得です。写真であれば「あ、この人は、商売するに当たって顔を出せる人物なんだな」という心意気を伝えられる可能性があります。

別に美人/男前自慢をするのじゃありません。実在するな、ってことが伝われば十分なので、100px程度の小さいものでOKです。

ちなみに、ここで「個人情報が…」などと考えた人、ちょっと自意識過剰すぎませんか?私はウェブサイトに顔を出すようになって数年経ちますが、街角で顔が指したことなどいちどもありません。

独自ドメインを持つ

まずは心理的な効果で、「ちゃんと商売してるな」という感じを与えられるということです。

プロバイダの支給スペースのドメインって、見てすぐ分かるし、私から見るとものすごく素人っぽい感じがしてしまうのですが…どうですか?そういう感覚を持っている、というのも商売にあたっては大切なことなのではないかと思います。

それから、名刺に載せたときにも効果があります。私のドメインは factory70.com ですが、シンプルでしょ?長々としていると、入力してもらうのもなんだか申し訳ないし、だいいち手間がかかります。短くて簡潔な独自ドメインのほうが、見てもらえる確率が高いのは言うまでもありません。

独自ドメインは、年間1000円以内から買えます(月間ではなくて、年間です)。独自ドメイン+レンタルサーバーで年間4000円くらいから。もちろん広告宣伝費で経費に計上できます。

「どこで契約すればいいの?」という方は、とりあえずこの下のバナーをクリックしてみてください。空きドメインの検索などが試せます。



もうひとつ、独自ドメインの良いところは、対検索エンジン的に良い、と言われていること。同じドメイン内にあるページは数個までしか表示しない、というルールがあると言われています(但し、この話がどのくらい正しいのか私は知りません。そのような説がある、ということでご承知ください)

プロバイダーの支給スペースは、ドメインを共用するので、この点で不利。自分よりも順位の高いサイトがあれば、表示されなくなってしまう可能性がある、という話があるそうです。

一般人を「差別」する。

「入るな」のイメージウェブサイトはその特性として、個人のお客様というか、ご一緒に仕事をすることを見込めない方も訪問するわけですが、そういう人たちには何ら用がない、ということがはっきりわかるようにしましょう。

ウェブサイトは基本的に、訪問者を選べません。

そこでお客様を選別する、というのは決して偉そうなことではなくて、逆にお客様になりうる人へ向けての親切です。

例えばイラストレーターなら、一般人向けのフリーダウンロードコーナーを一緒に置いてあるとか、あるいは、個人のブログなのか営業用サイトなのか、一見しては分からないサイトとか。一般人に対するコンテンツをまぜこぜにしてしまうと、せっかく仕事を発注してくれそうな人を迷わせてしまいます。「あれ?この人は趣味でやっているのか?」と。

特に写真やイラストは、こちらの意図が伝わりにくいように思います。一般の人からみて、職業なのか趣味なのかが特に分かりにくいからです。人によって商売のスタンスが違うため、一口に語るのは難しいのですが、私の場合は意図的に強く線引きをしました。

なんのためのサイトなのか、そして、伝えたいことは何なのか、また、想定するターゲットは誰で、その人に期待するアクションは何なのか。商売に使えるウェブサイトにするには、それらをぶれないように作る必要があって、またそのためには、ウェブサイト制作のプロが使うフローに則るのが近道です。

セミナーでは、「小さくてもいいから、まねごとでもいいから、ちゃんとディレクションをしましょう」ということを再三お伝えしたのでした。


いい話は、ここまで。

次のページでは、「やっちゃダメなコト」編をお送りします。