「フリーランスは労働者じゃないから、最低賃金は守らなくていい」は大ウソ

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フリーランスの報酬

報酬のことでめんどくさい目に合った友人に捧げます。

労働組合の人にいろいろ聞く機会があったので、まとめてみました。仕事を出す側のかたにはとくに、気に留めて頂いたほうがいいかもしれません。

フリーランスも最賃は守られるべき?

クラウドソーシング、今も流行っていますね。中にはひどい低報酬の仕事もあって、システム開発はまだマシなようですが、イラストやデザイン、あるいはライター(文章のしごと)なんかは特に安く、時給に換算すると最低賃金に満たない場合もあるそうです。

こういう話題になると「フリーランスは労働者じゃないんで、最低賃金を切ってても文句言えない」ということを言い出す人がいるのですが、どうやらそれはウソらしいということが分かりました。

つまり、フリーランスも最低賃金は守られるべき、が正解なのです。
では、一体なぜなのでしょう?

理由1:フリーランスは労働者じゃない、とは言い切れない。

これは意外に歴史のある話で、80〜90年代に行われたある裁判の判決で
「フリーランスにも労働者としての性質をみとめられる場合がある」
という旨のことが述べられています(瀬川労災訴訟)。

この裁判は、フリーランスの映画カメラマンが過労で亡くなり、その労災認定を争ったものでした。フリーランスにも労働者としての性質があるか、が問われたわけですが、それに関連して、判決では報酬についても触れられています。

それによると、フリーランスの仕事の対価はふつう「報酬」ですが、日数や労働時間を元にして算出するようなものであれば、それは「賃金」の性格を持ちます。つまりそれを受け取る人は労働者の性格を持つということです。

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ここでクラウドソーシング等の例をふりかえってみると、時間がどれくらいかかるか、を値段の根拠にすることはけっこう多いでしょう。また、まず仕事があって、それをこなす人員を求める、という募集の経緯じたいを考えても、雇い主が労働者を監督するのと全く同じようなかたちになって、結局労働としての側面を逃れられないようにも見えます。

そういうわけなので、その仕事が「労働」の範疇ならば、最賃を割れば違法です。フリーランスって、あるときは労働者、あるときは経営者という二面性を持つものですが、その労働者の面のみを使われる場合、というのもあるのですよね。

理由2: 最低賃金と下請法は、じつは関係ある。

もうひとつの根拠のもとになるのは、下請法です。

それ、関係ないのでは?と思われるかもしれません。労働者に関係のある最低賃金、企業に関係のある下請法、というイメージですよね。

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ところが、じつは公正取引委員会が、下請法と最低賃金の関係について言及しています。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)のウェブサイトから引用します。

公正取引委員会は、
「請負代金を所要作業時間で割った時間単価」が最賃を下回ることは、下請法に抵触する「買いたたき」と判断する重要な要素と回答した

引用元:労働政策研究・研修機構「非正規労働者の組織化に関するヒアリング調査」2012年(PDF)

「重要な要素」だそうです。フリーランス=労働者かどうかとは別に、下請法適用内の仕事なら最低賃金を守らなくてはなりません。さもなくば買い叩きと見なすかもよ、と下請法の管理人さん・公正取引委員会は言っているのです。

では実際、ある会社が最賃以下の金額の仕事を発注するとどうなるかというと、ただちに処罰されるかどうかまでは分かりません。ただし、「買い叩きをした」「法に触れる行為をした」というレッテルからは逃れられないことでしょう。

出すほうも、受けるほうも、ちゃんと意識しましょう。

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以上ふたつの根拠を挙げました。「フリーランスは労働者じゃないんで、最低賃金以下の報酬でもOK」という考え方のままでいると、意識せずさくっと法に抵触してしまうかもしれません。

主に気をつけるべきは仕事を出すほうの立場の方でしょう。しかし、引き受けるフリーランスのほうの意識も問われています。作業時間と内容をその都度吟味して、最賃を割るような値段の仕事は何があっても絶対に引き受けないことです。

自分の価値を謙遜しすぎるのは美徳でもなんでもなく、違法行為の片棒を担ぐ可能性のある行為です、ときつめに申し上げておきます。