フランスの絵本すごい。幼児向けで「お互いの違いを認めよう」

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Bon appétit, Monsieur Lapin!

Bon appétit, Monsieur Lapin!」という絵本が、私の手元にあります。

これは、10年くらい前にパリで買ったフランス語の絵本です。
久しぶりに読み返してみたら、とても大切な教訓を含んでいるような気がしてきました。

文庫本くらいのちいさな絵本のお話は、こんなものです。

あまりニンジンが好みでないウサギ氏は、隣人たちに「いつも何を食べているの?」と尋ねてまわることにした。

カエル「ハエめっちゃおいしい」ウサギ氏「うぇwwっうぇwww」
クジラ「プランクトン」ウサギ氏「は?なんですかそれ?」
豚「私に食べられないものなどありません」ウサギ氏「さすがだね、私にはまねできない」
猿「バナナだよ」ウサギ氏「イイネ、でもウチの庭にはないなあ」

そして最後に、オオカミに出会ったウサギ氏。
「いつも何を食べているの?」
「そうですね、ウサギが大好物でして」
「えっ……助けてー!」

襲いかかるオオカミ。必死で逃げるウサギ氏。
なんとかかわしたものの、両耳をかじられてしまった。
(ここで、耳のないウサギの絵……。かわいく描いてあるが、なかなかショッキングな絵面だ)

命からがら自宅へ戻るウサギ氏。
耳が育つように…と、大きな鍋でニンジンを煮て食べたウサギ氏は、それがなかなか美味しいことに気づいたのだった。

 

Bon appétit, Monsieur Lapin!(さあ、召し上がれ!)

 


最初、この絵本の意味するところがいまひとつ分かりませんでした。フランス語が達者でないので、最後のくだりで「ウサギの耳と一緒にニンジンを鍋で煮て食べた」と読み違えてしまい、「なぬ、自分の耳を?!フランス人はなんちゅーえぐい話を子供に読ませるんや……」と、無駄なショックを受けたこともありました。うん、案外おいしそうかも。

それはさておき、この絵本の一番のテーマが「好き嫌いしないで、なんでも食べようね」というシンプルなものであるのには違いありません。どこの国の母親であれ、子供にそれを言わないはずがないですから。

 

加えてもうひとつ、二番目のテーマを読み取ろうとするなら、この話が余計にフランスらしいものに思えてきます。

ウサギにはニンジン、カエルにはハエ、猿にはバナナ。
それぞれの自分にふさわしいモノがあるのだから、それを受け入れなさい、とこの絵本はどうやら言っているようです。

ウサギ氏が結局ニンジンを食べたように、自分らしさを受け入れることは、すなわち他人の価値観を認めることでもある、ということなのでしょう。

 

これが日本の昔話なら、ウサギ氏の渾身の悪知恵でオオカミを罠にかけ敵を取るところまででひとネタ、といったところでしょうね。
あるいは、食育的な何かとか、サークル・オブ・ライフ的な何かを絡めて「いのちを最後まで美味しく頂きましょう」という流れがイマっぽいかもしれません。