こういう起業家のためになら、頑張れるかも。–「ともに戦える『仲間』のつくり方」をエンジニアが読んだ感想文

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「起業家」と「エンジニア」が仲間になるには、どうすればいいのでしょう?

この本を手に取るのは「起業家」側の人が多いのでしょうが、私のような「エンジニア」側の立場で読んでも、少し見えるものがある本でした。

ともに戦える「仲間」のつくり方
南 壮一郎 著
出版社/ダイヤモンド社

ネガティブ系「ベンチャーあるある」

「起業家」って、なんか、うさんくさい。

エンジニアやクリエイターの方で、そういう臭いを感じたことの無い人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

この本は、著者が幾人ものエンジニアに嫌われて協力を得られず、それでもなんとかして起業を成功させるまでの道のりを語った話なのですが、サービスの立ち上げのくだりなどは、エンジニアやクリエイターが読めば間違いなくぞっとするでしょう。

ウェブの知識を一切持たずにウェブサービスの制作を外注し、素人考えの指示で二転三転の修正をくり返し、あげく当初の納期をすぎ、しまいには「いつになったら完成するんですか!」と逆ギレしたんだそうです。まったく、そのときの制作会社には心から同情しますが、こういうのはときどき耳にする「ベンチャーあるある」だったりもして、笑えない話です。

何をやるか、ではなく、誰とやるか。

このような「起業家」と「エンジニア」のコンフリクトは、なくならないのでしょうか。エンジニアはこういう起業家を「高圧的で、人を道具にしか見ていない」と思っているし、起業家は「金を払ってやったのに思い通りにならない、無責任な奴らだ」といいます。両方が笑顔でハッピーエンドを迎えることは、できないのでしょうか。

おそらくそのヒントは、著者が後半でたどり着く「『何をやるか』ではなく『誰とやるか』が大切」というところにあります。

自分のできないことをできる他人を素直にすごいと思えること、その人を信じて背中を預けられること。著者はそれができる相手を「仲間」と定義したようです。

仲間として任せるか、あるいは単なる労働力か

申し訳ないけどたぶんこの著者さん、この文章の空気感からして、いまでもエンジニアにあまり好かれるタイプではなさそうです。でも、たぶんこの人の仕事を引き受けたとしたら、今なら頑張れる気がします。

エンジニアから見ると、仲間として任せてもらえる仕事はやっていて楽しいし、自分の力を存分に発揮したい!と思います。逆に、こちらを単なる労働力としてしか見ていないのが分かる依頼主に対しては、いかにさっさと済ませてお金を回収するかを考えるのです。

お互いにとって、どちらが得でしょう。

著者は100人のエンジニアに会ってボロカスに言われるところから始まり、いろんな出会いや別れがあってその答えを見つけるのですが、これから起業する方は、この本でその道のりを追体験してください。準ドキュメンタリーのような体裁で書かれているので、体験したような気持ちになれると思います。

エンジニアが読んでおくと、少し優しくなれるかも。

君、エンジニアなの?
起業したいんだけど、アプリ作ってよ。ぜったい流行るから。

と言われたら瞬間的に眉根にしわが寄ってしまうエンジニアも、この本を読んでおくと、いちおう話を聞いてあげようか?という優しい気持ちを少しは持てるでしょう。

ちょっとうさんくさいけど、実はあんなことやこんなことで悩んでいるのかも。そんな風に相手の立場を想像してみると、仕事がうまくいったり、何より少しハッピーになれるかもしれません。