日本人みんなに大事なお話「永遠の0(ゼロ)」

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永遠の0

この世の中は、いろんなミラクルが折り重なって、その上に自分の存在がちょこんと乗っているのです。この衝撃的なオチは、そういう意味で泣けます。

永遠の0 (講談社文庫)
百田 尚樹 著
出版社/講談社

すごくキャッチーでもあり、考えさせられもするお話でした

とりあえず、飛行機の戦闘シーンにわくわく。

まず興味をひかれたのは、前半に多い零戦の戦闘シーンの描写でした。零戦って、そんなに高スペックだったんですね!

私「エースコンバット」がめっちゃ好きなんですけど、同じく好きな方にはたまらないと思います!ただ、だんだんそんなのんきな雰囲気ではなくなっていくのですが。

話の運びがうまい。共感できるように作ってある。

またこの主人公がいいですね。20代半ばの青年。頭はいいけど失業中で、特に戦争に強い興味があるわけでもない。そんな彼が徐々に戦争を知っていく話の運びのために、20代、30代にも共感しやすいと思います。なんてうまい設定なのでしょう。

「命のやり取り」を生きてきた戦中の人たちと、私たちがつながっていることを、私たちも主人公といっしょに知っていくわけです。

戦争と私たちは、つながってるんです。

私事で恐縮ですが、私の祖父は当時、陸軍の兵士としてフィリピンの奥地で戦っていました。物資も不足してひどいありさまだったと聞いています。また私の中学高校の校長は、特攻隊として招集され、仲間が散っていくのを見届けた体験を持つ人でした(この小説にも出てくる、駆り出されたインテリたちのひとりだったのでしょう)。

身内からそんなエピソードを聞いたことのある者にとっては、この小説はある意味、身近なひとたちの話でもあるのです。

彼らのぎりぎりの戦闘のうえに私の存在があるのはまぎれもない事実で、政治信条など関係なく、日本人なら皆、そこから目を逸らすことはできないでしょう。それを知る入り口としても、意味のある小説だと思いました。

文学としてどう?でもそこが逆にいいのかな

ところで……えっと、この作品、文章がそこまでうまいかと言われると、そうでもないような気がします。

いや!あのっ、その、素人が何様か?!って感じですけど……。

じゃなくて、見事な綾のように織られた芸術的小説か、って言われると、そんなんではないよなぁ……っていう超高いレイヤーの話です。登場人物のふるまいとか言い回しに、ちょっとベタやなと思うところがあったり。

「探偵ナイトスクープ」の構成をされていたということで話題の作家さんですけど、たぶん、筋書きを伝えることのプロなんでしょうね。だから逆に、そのぶん読みやすいからヒットしたのかなぁなんて思うのです。

もし泣くとしたら、うすっぺらじゃない涙が出ます。

これは、日本人みんなのルーツのお話です。その歴史とか、戦争のなかを生きた人たちの魂とか、いろんな思いが乗っかった、ずっしり重い感動が味わえる一冊でした。